安藤まなのてきとー日記

22歳 発達障害の母の日記です

妊娠中の睡眠薬の服用の話

私は妊娠中もマイスリー という睡眠薬を毎日飲んでいた。正確に言うと妊娠が発覚してから悪阻が終わるまでの間以外だ。悪阻の時はとにかく横になっていることしか出来ず、ずっと横になっていると2〜3時間連続して眠れる時があり、それを3〜4回繰り返して睡眠時間を確保していた。この感じで睡眠薬なしでも大丈夫なのではないかと思っていたのだが、体調が良くなるとやはり夜寝ることが全く出来なくなってしまい、また睡眠薬を飲み始めた。

服用に当たっては自分で色々とインターネットで調べた。結果は、「絶対に胎児に影響を及ぼさないとは限らないが、絶対に安全だとも言い切れない」というものだった。妊娠中の薬の服用については、絶対に飲んではダメな薬と絶対に安全な薬以外の殆どの薬は基準が曖昧で、医師によって意見が異なったりもする。もしかしたら胎児に影響が及ぶかもしれないから服用を控えるということがほとんどだ。また、医者は万が一胎児に何かしらの影響があることを恐れて妊婦にはあまり薬を出してくれない。もし万が一何かあった時に自分が文句を言われるのか嫌だからだ。風邪薬も、点眼薬でさえ出してもらえないことが多い。一応、安定剤、睡眠・鎮静薬、抗うつ薬を妊娠中に飲むことの危険度を示したページは存在する。これによると、マイスリーは安全な方みたいで、精神科のホームページでは、妊娠中でもマイスリーは問題なく服用できると書かれたページもあった。もちろん、それ以外にも妊娠中のマイスリー服用に関するインターネットの情報を隅から隅までチェックした。結果的に、私は飲んでも大丈夫なのではないかという結論に落ち着いた。妊婦の安定剤、睡眠・鎮静薬、抗うつ薬の服用については、基本的に「治療上の有益性が危険性を上回ると判断される場合にのみ投与すること」とされている。要するに「胎児を多少危険に晒すとしてもその薬を飲まないと妊婦自身が心身の健康を保っていられない場合にのみ投与しても良い」ということだ。私の場合は、睡眠薬を飲まなくても昼夜逆転するだけで、睡眠時間は確保できるので、身体的には問題がなかった。ただ、夜寝られないことによる精神的な影響がかなり大きかった。抗うつ剤を飲めないとなると、精神的に多大な影響が出る。それを鑑みて、睡眠薬を服用し、抗うつ剤は服用しないという方針を決めた。そして妊娠中も毎日睡眠薬を服用して生活していたが、妊娠9ヶ月の時に急に不安になってまたネットでいろいろ調べていると、『妊娠後期に連続して服用すると赤ちゃんに「新生児薬物離脱症候群」とよばれる状態を引き起こす危険性があります』という情報を見つけた。気になったので「新生児薬物離脱症候群」を調べてみると、赤ちゃんが母体の中にある睡眠薬の影響を受けて、睡眠をした状態で出てきてしまい、産まれた時に呼吸が出来ない状態になるというものだった。早期にきちんとNICUなどで治療すれば、生後2週間以内に普通に呼吸ができるようになるという。この情報を知った私は少し怖くなって、睡眠薬をやめてみることにした。しかし、やはり夜寝ることが出来なくなり、精神的に辛くなってきてしまったので、また服用を開始することにした。この頃ちょうど、ギリギリのタイミングで里帰り出産をすることを決めたのだが、里帰り先の病院が総合病院で、NICUもある病院だったので、もし赤ちゃんに何かあっても助かるだろうと思ったこともあった。服用を再開してから毎日不安な日々を過ごし、分娩室に入っても、産まれてきた赤ちゃんがちゃんと産声を上げてくれるのかずっと気にしていた。

幸いなことに、息子は産まれた瞬間に「オギャアオギャア」という元気な産声を上げた。私はその瞬間にほっとしてしまい、助産師に取り上げられて私の真横に来た息子を見て思わず泣いてしまった。元気に産まれてきてくれて本当によかったなあと思った。その後、息子は身長や体重を測り、何か異常がないか隈なく調べられたが、何も異常は見つからなかった。私は心底安心し、妊娠中も薬を服用せずにはいられなかった私の中で育っても、何も異常がなく元気に産まれてきてくれた息子に感謝の気持ちでいっぱいだった。本当に親孝行な息子だなと思った。

その後、現在に至るまで息子は何の問題もなくすくすくと成長している。産まれた時は2500gに達しない小ささだったが、今は同じ月齢の他の子と比べても大きいくらいになった。少しふっくらしているので、腕も太腿ももちもちで可愛い。

この話はあくまで、私は妊娠中にマイスリーを毎日飲み続けても何も問題がなかったというだけの話だ。日本でもマイスリーの過量服用による急性薬物中毒の母体から出生した児が急性薬物中毒よる無呼吸状態であったという例がある。決して完全に安全であるとは言い切れないので、もし私のように精神疾患睡眠障害がある妊婦の方は、主治医や産婦人科の先生とよく相談した上で服用するかどうかを決定することを勧める。ただ、この経験談が、あくまで一例として、今悩んでいる妊婦さんの参考になれば良いなと思う。