安藤まなのてきとー日記

22歳 発達障害の母の日記です

夫に少し育児を任せてみたら育児がグンと楽になった話

夫に育児を任せるということは難しい。世の中の母親の大半がそう感じているのではないだろうか。

なぜそう感じるのかというと、父親の方が育児に関する知識も経験も圧倒的に少ないからだと思う。知識に関しては、母親は子どもが産まれるにあたって赤ちゃんのことを知ろうとするのに対し、父親はあまり知ろうとしない人が多いため、出産前から知識の量の差がある。それに加え、今の日本では母親が育児する時間の方が父親より圧倒的に多いのが一般的なので、知識も経験も母親にどんどん差をつけられていってしまう。そして、それに気づいた時には取り返しのつかないことになっている。

その状態で夫に少しの間育児を任せようとすると、母親が父親に一から全て教えなければいけない。この時点でとてつもなく面倒臭い。というか、親としてのスタートは一緒に切ったはずなのに子どものことを全く知らない夫にまず絶望する。まあそれでも教えなければ永遠に母親が子どもの面倒をみなければならなくなってしまうため、怒りを感じながらも教える。しかし、教えたところで、母親のようにうまくは絶対に出来ない。圧倒的な経験の差があるからだ。それを見て「なんでそんなことも出来ないの!絶対に子どものこと任せられない!」となる。そして結局母親が育児をする。またどんどん育児経験の差が広がる。以下無限ループである。

これを断ち切るにはどうしたら良いのか。私は、父親に育児のことを一通り教え、何日か二人で一緒に育児したり、自分が育児をしているところを見てもらったら、あとは放っておいて勝手に子どもの面倒を見てもらうしかないと思う。

もちろん、それを近くで見ていたら一々口を出したくなってしまうだろう。だから、完全に視界に入らないように放っておく。可愛い子どもにそんなかわいそうなこと出来ないという母親もいるのだろうが、それでは永遠に父親に一人で子どもの面倒を見てもらうことは出来ないと思う。

私は里帰り出産をしたため、夫とは家に帰った時にすでに3週間ほどの育児経験の差があった。それくらいどうってことないと思われるかもしれないが、3週間だけでも「私は育児の基本を全て知っているし経験しているが、夫は何も知らないし経験していない」と信じ込むには十分な期間だった。新生児期の3週間は気が遠くなるほど長いからだ。新生児は夜中もお腹が空いたり不快なことがあるとすぐ起きて泣くので、母親はあまり眠れず、1日の始まりが曖昧なまま1日がスタートし、終わりが感じられないまま、また次の1日がスタートする。普通は夜寝る時に「今日はこれで終わり」ときちんと認識し、睡眠を挟んで、起きた時に「今日がスタートした」と明確に感じるものだが、その終わりと始まりがないだけでとてつもなく長く感じる。毎日これがいつまで続くのだろうかと思いながら生活している。

里帰り中も夫は実家に来てくれて育児を手伝ってくれていたが、私は夫のオムツ替えのスピードが遅いだけで「オムツ替えのスピードが遅い!毎回そんなに長い時間かけてたら日が暮れちゃう!家に帰ったら育児以外にも家事とかいろいろやることがあるんだから寝る時間がなくなっちゃうよ!」と怒っていた。今から思えば、オムツ替えのスピードが遅いだけでよくそんなに怒れたものだと思う(笑)

しかし、そんな状態でも、必要なことは教えた上で一度夫に子どもを任せて出かけてみたりすると、意外となんとかなっていたりする。私も里帰りを終えて家に帰って、最初に夫に息子を任せて外出した時は「え?本当に大丈夫だった??本当に???」と思って夫にいろいろと聞いてしまったが、夫はなんでもなさそうに質問に答えるだけだった。息子もいつも通りのようだ。一度任せて放っておいただけで、「ああ、あんなんでも意外と大丈夫なんだな」と感じることが出来た。もちろん、夫はいろいろと苦労することがあったみたいだったが、大変だったことをを聞いても「ああ、それいつもやる。大変だよね。どうした?」と普通に質問することが出来た。そして、それからは「任せても意外となんとかなる」という思いで夫に育児を任せることが出来るようになった。

夫に息子を任せる時間が増えると、私も知らなかった息子の特徴や好きなことを夫の方から教えてくれたりもする。私がどうしたら良いか解決方法が分からないことも、夫が解決方法を知っていたりする。また、息子のことを二人で共有することで、こうなったらどうすればよいのかと一緒に考えて解決策を見つけたり出来る。息子の育児にしてもお互い得手不得手があるので、苦手なことは相手がやるということが出来るようになる。そうなると、育児がグンと楽になる。

夫に育児を任せてみるのは、月齢が低ければ低いほど良い。なぜかというと、月齢が上がってくるにつれて、自我が出てきて、「これが好き」「あれが嫌い」「これをされると喜ぶ」「あれをされると嫌がる」というような説明が多くなってしまうからだ。そういうことは、母親だけが知っていてると父親に教えなければならない事柄になってしまうが、二人で育児していれば成長の証として前向きに受け取れる。月齢が低いと心配事もかなり多いが、積極的に夫に子どもを任せてみるべきだと思う。最悪、死んでいなければokくらいの気持ちで。

日本では父親が育休をほとんど所得していない現状があり、休みの日も育児に参加しない父親が多いようだが、せめて休みの日だけでも、父親は積極的に育児に参加して欲しいなあと感じる。そして、それを母親も寛容な気持ちで見守ることが出来れば良いなあと思う。あまりにも育児している時間に違いがあるようだと母親はなかなか心穏やかにはいられないだろうけれど、父親も子どもの成長を感じることが出来れば嬉しいだろうし、それをパートナーと共有できればもっと嬉しいだろうと思う。

一度父親に育児を少し任せてみることで、父親も育児の大変さややりがいをほんの少しだけでも感じることができるだろうし、そこから見えてくる世界があるのではないだろうか。